2021/04/02
「平成の三四郎」と呼ばれた古賀稔彦さんが亡くなりました。53歳でした。一本背負いを得意とし、脚を負傷しながらもバルセロナオリンピックで優勝した姿は、とても輝いていました。
テレビのワイドナショーで、古賀さんが「なぜ柔道をするのですか?」と聞かれた時、「やさしくなるため」と答えた、というエピソードが紹介されていました。ふつうは、「強くなりたいから」と答えるでしょう。
「やさしさ」を辞書で調べると、『心が温かく、思いやりがあり、穏やかでおとなしいこと』とあります。たしかに、「やさしさ」と「強さ」は、結びつきません。むしろ、弱い方が、他人の痛みにも敏感で、やさしくなれる気がします。古賀さんの真意がどこにあったのか、もう確かめることはできません。ただ、教え子である谷本歩実選手がオリンピックで金メダルを獲った時に、古賀監督に抱き着いて喜んでいた姿の中に、古賀さんの“真のやさしさ”を感じとることができる気がします。
本当に強い人はやさしくなれるのかもしれません。
私は、全然強くないので、古賀さんのようにやさしくはなれませんが、弱い者なりのやさしさというものがあってもいいような気がします。
「やさしい医師でありたい」と思います。