2013/12/16
今年(平成25年)の流行語大賞(四つ)のひとつは、「倍返し」でした。驚異的な視聴率を記録した『半沢直樹』の決め台詞です。私も、最初から最後まで番組を見ましたし、原作(『オレたちバブル入行組』、『オレたち花のバブル組』)も読んでしまいました。
なぜ、これ程のヒット作品になったのか?私自身に限って言えば、「主演の堺 雅人さんの演技がすばらしかったから」です。『南極料理人』や『ツレうつ』の優しい感じと打って変わって、気骨のある銀行員を見事に演じきっていました。今まで役柄とのギャップが新鮮で惹かれたのでしょう。
一方、冷静に原作を読んでみると、「そこまでしなくても」という「倍返し」のシーンが何度も出てきます。その典型が“土下座”です。テレビでは香川照之さんが迫真の演技(やや歌舞伎がかってはいましたが)を見せてくれました。半沢の側に立ってみればこれ程痛快な事はないのかもしれませんが、相手方(土下座させられる側)にしてみればたまったものではありません。ふたりだけならまだしも、他の職員のいる前ですから、上司としてのプライドだけでなく人間としての誇りもすべて砕かれてしまったと思います。その後には何が残るか?「憎しみ」だけでしょう。本人だけでなく、その家族までも。これが高じれば、昔の“仇討”になってしまいます。誰も幸せにはならないでしょう。
ここで、ふとある言葉を想い出しました。『微笑み返し』です。そう、キャンディーズのヒット曲の題名です。「スーちゃん」のやさしい笑顔を思い出します。笑顔は人を優しくします。他人の過ちを赦す心の広さを持ちたいものです。
来年は、「倍返し」より「微笑み返し」。
いい年でありますように!