2014/10/20
昭和の時代、子供たちの好きなものといえば、『巨人・大鵬・卵焼き』でした。今でも、プロ野球のジャイアンツや卵焼きを好きな子供は大勢いるでしょうが(サッカーやハンバーグかな?)、大鵬は知らないでしょう。
私が初めて大相撲を知った頃、若乃花を応援していました。それなのに、急に大鵬という若くて大きな相撲取りが現れて、あっという間に横綱になってしまいました。日本人とロシア人とのハーフ(昔はこのような表現はしませんでしたが)ということを聞いていたので、小さい日本人力士(佐田の山や栃の海)が負ける姿を見ていると、悪役の外人プロレスラーに日本人レスラー(吉村道明など)がやっつけられているような感じがしていい気がしませんでした。それと、何となく勝ってしまう(相手が勝手に負ける)ので取り組みが面白くありませんでした。という訳で、私は大鵬が嫌いでした。
ところが、『昭和偉人伝スペシャル 昭和の大横綱・大鵬』というテレビ番組を観てから考えが変わりました。幼少時に母子家庭で苦労したこと、相撲部屋に入門した時は痩せっぽちで勝てなくて先輩力士に苛められたこと、どうしても柏戸に勝てなくて悔しい思いをしていたこと、などなど。本人は、“天才”と呼ばれることを一番嫌ったそうです。誰よりも稽古を積んで強くなったという自負があったからでしょう。横綱という地位を守るためにどれほど苦労したか。清國との一番で痛めた左肘は曲がったままで、夜も眠れないくらいに痛んだことを夫人が話していました。さらには、引退後に若くして脳梗塞で倒れた後、担当医も驚く程にリハビリを頑張った話。華やかで、輝かしい記録とは正反対の人生だったようです。
そんな事とも知らず、上辺しか見ないで、努力もせずに恵まれた体各だけで強くなったと勘違いして毛嫌いしていた昔の私。色眼鏡(偏見)というのは恐ろしいものです。大して知りもしないのに、好きになったり嫌いになったりするのは慎まないといけませんね。
余談ですが、私が一番好きなお相撲さんは「玉乃海」です。四股が綺麗で、すばやく“前褌”を引いて差し出を返し、同時に上手を引きつけて寄り切る“型”は素晴らしいものでした。