2017/11/06
東京国立博物館で、『運慶展』をみてきました。
「運慶」は有名ですので、みなさんご存知と思いますが、平安時代末期から鎌倉時代に活躍した仏像彫刻家(仏師)です。私も修学旅行で奈良を訪れた時の、東大寺南大門にある金剛力士立像は鮮明に覚えています。ただ、「運慶」と「快慶」の区別もわかりませんでした。
今回わかったことは、父親は奈良仏師一門を率いた「康慶」。そして、源平の戦いの際に奈良の東大寺と興福寺が焼失し、その復興に力を尽くしたのが、「康慶」「運慶」親子と一門の仏師たちであったこと。その一門の中のベテラン仏師が「快慶」でした。「運慶」がひとりで仏像を制作するのではなく、「運慶」を中心としたチームワークで作品を制作(工房制作)していたようです。だから、大きな仏像を次々に造ることができたのでしょう。
本物はどうだったかというと、すばらしかったです。特に、「無著」・「世親」の菩薩立像と「四天王立像」は強烈な印象を受けました。2メーターくらいの大きさに圧倒され、リアルな表現に驚きました。ミケランジェロの作品のような筋肉粒々というのではなく、全体にどっしりとしているのです。また、着物が風にたなびく繊細な表現は見事でした。さらに驚いたのが、「玉眼」です。水晶に色を塗って木像の目の部分に内側からはめ込むのですが、超リアルな眼でした。
仏像というと「大日如来像」などの大仏様を思い浮かべることが多いのですが、運慶の作品の多くは、ひとりのお坊さんや武将や子供たちといった、とても身近な作品が多かったように思います。
運慶は子だくさんで、6人の息子(湛慶・康運・康弁・康勝・運賀・運助)と1人の娘(如意)がおり、運慶没後は、湛慶が一門の棟梁として率いていたようです。
父親や子供たちの作品も展示されていたが、運慶には及ばない気がしました。訴えかけてくるものが違うのです。運慶の作品は、時代を超えて、当時の心意気が直に伝わってくるのです。千年後に私たちが目にすることも意識して作っていたのではないかと思えるくらい、神々しく、親しみのある、超リアルな作品群でした。
「運慶」は時代を超えた天才だと思います。